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コンピューターサイエンスの未来を作る技術について ー IoT(関連技術編)

IoTの関連技術

今後IoTとの結びつきが強くなる関連技術を紹介します。

ブロックチェーン ー IoTデバイス間のセキュアなデータ交信を可能に

IoTを用いて何らかのシステムを実現する際、真っ先に上がる課題が「信用性と安全の確保」です。「IoTデバイスが他のデバイスとデータ交信する際に、そのデータが盗聴、改竄されないか」が重要なポイントとなるわけですね。

そこで、データ漏洩や外部からのサイバー攻撃が問題となる従来の中央集権的なシステムから、暗号技術とコンセンサスアルゴリズムを用いたブロックチェーンをデータ交信に適用することで、通信の信用性と安全性を担保するわけです。

Markets and Marketsによれば、IoT x ブロックチェーン市場は2020年の2億5800万ドルから2026年には約10倍の24億900万ドルに拡大すると言われています。

5Gネットワーク ー IoTのパフォーマンスを最大限に引き出す

5G技術によりIoTの技術は最大限にその可能性を発揮するといってもよいでしょう。

5Gネットワークを通じて、最小限の遅延で交信でき、リアルタイムでデータを処理できるようになります。

人工知能 ー モノに考える力を

AIによってIoTは大量のデータを分析し、分析結果に基づいてよりインテリジェントな出力を生み出すことができます。AIを搭載したIoTはセンサー入力から得られる大量のインプットから、特定のパターンや傾向を判別し、最適化やリソース配分などのタスクをこなすことができます。

例として自動運転車や自動ドローンが挙げられ、それらはAIによって自律的制御が可能となり、障害物を避ける、最適なルート探索を行うわけですね。

Digital Twins

2020年に提唱された技術で、Digital Twinsとは物理的なオブジェクトやプロセスをリアルタイムで仮想化したもので、分析や最適化、モニタリング、パフォーマンスの制御に用いられます。IoTデバイスに取り付けられたセンサーによって現実の空間情報を蓄積することで、後述するメタバースのような仮想空間で現実世界の空間を再現することができます。

https://www.antino.com/blog/wp-content/uploads/2021/08/Digital-twin_AntinoLabs.jpg

IoTによってより多くのモノが相互作用しデータ共有する中で、仮想化された現実空間の複製を用意しておくと、データサイエンティストや他のIT技術者が最適化や様々なケースを実験できるようになります。

実際に、NVIDIA社開発のプラットフォーム「NVIDIA Omniverse」を用いて、工場のデジタルツインを構築し、生産ラインのシミュレーションなどを行った実例があります。

サイバーセキュリティ ー

バイス間で頻繁に起こる通信において、いかに機密性・完全性・可用性を確保するのか。これまでのセキュリティ対策がIoTという新技術においても適用できるのか。IoTのサイバーセキュリティにはこれらの課題があり、それがIoT x サイバーセキュリティが新しいセキュリティ分野として確立された理由の一つです。

エッジコンピューティング

エッジコンピューティングとは、「データはそれを作り出した場所から最も近い場所で処理すべきだ」という考えのもと、IoTにおけるデータの発生源であるモノの中でデータを処理してしまおうという演算手法です。

エッジコンピューティングによって、処理量、処理スピードが共に上がり、リアルタイムでIoTからの出力を得ることができます。

IoTで実現する未来

すでにメタバースやデジタルツインなど、IoT技術無しでは実現できない構想が台頭してきています。そのほかに、今後IoTで実現する未来例を2つ紹介します。

スマートシティ

スマートシティはIoTの実現する未来として真っ先に議論に挙がりますね。

スマートシティと似た概念としてスーパーシティがありますが、スーパーシティとは住民の課題解決を目標として技術を街に適用するものであり、技術に焦点をあてたスマートシティと混同しやすいですね。スーパーシティとスマートシティの違いをより知りたい方はこちらを参考にされると良いと思います。

交通量のコントロール

IoTにおいてインターネットに接続されるものは家電やガジェットだけではなく、車、バイクも含まれます。不要な交通量によってもたらされる渋滞、事故などの課題を解決する可能性をIoTは持っています。

 

まとめ

本記事では、「コンピュータサイエンスの未来を作る技術について」の第一歩目の技術としてIoTを選び、その関連技術と将来の活用方法について紹介しました。IoTの関連技術は、AIからメタバースまで可能性を秘めた最新技術を幅広くカバーしていることが確認できました。将来の活用方法については、今回挙げた三つの例にはとても収まらないので、興味のある方は書籍や他Webページをご覧になってみて下さい。

 

引用

Top IoT Trends in 2023 That You Must Know About | Antino Labs

Blockchain IoT Market worth $2,409 million by 2026

スーパーシティとスマートシティの違い

IoT技術が支える「メタバース」 デジタルツインのビジネス利用、その最新動向とは? | IoT設計構築支援 TED REAL IoT|東京エレクトロンデバイス